みなさま、こんにちは!
最近暑くジメジメした日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて今回は少し前の論文にはなりますが、気になる内容がありましたのでご紹介させていただきます。
米国 California 大学 San Francisco 校の Scott R. Bauer 氏らは、1986 年から開始された Health Professionals Follow-up Study のデータを利用して、勃起障害 (ED) の発症リスクと食生活の内容に関連が見られるかを検討し、
食生活のスコアが高い健康的なグループは、低いグループよりも ED の発症率が低かったと報告した。
結果は 2020 年 11 月 13 日の JAMA Network Open 誌電子版に掲載された。
ED の修正可能な危険因子として、喫煙、肥満、座位時間が長い、糖尿病、高血圧、脂質異常症、
メタボリックシンドロームなどが報告されているが、それらの多くが心血管疾患の危険因子でもある。
実際に、ED 患者はその後心血管イベントを経験するリスクが高いことが報告されている。
心血管リスクが高い人々には、実際に食生活を改善するライフスタイル介入が行われているが、
この介入により ED のリスクも下がるのかどうかは明らかではなかった。
食事の質が ED リスクと関係するのであれば、特に若い男性の食生活改善の動機になる可能性がある。
そこで著者らは、健康的な食事のパターンの順守度と ED の関係を、大規模なコホート研究のデータを利用して
検討することにした。
米国 National Cancer Institute の支援で 1986 人に開始された Health Professionals Follow-up Study は、
歯科医や薬剤師など男性の医療従事者を対象に、食生活や栄養状態と癌・心血管疾患・脳血管疾患などの
発症リスクを調べる大規模コホート研究だ。
同様に女性を対象にした Nurses’Health Study とともにしばしば引用される。
試験参加者は 4 年ごとに食品摂取頻度調査に回答し、2 年ごとに健康状態、ライフスタイル、服薬状況に関する質問票に回答している。
勃起能力に関する質問は 2000 年から追加され、2004 年、2008 年、2012 年も行った。
治療なしで性行為に必要な状態を維持できるかどうか、という質問に対して、
大いに困難、困難、微妙、可能、大いに可能の中から回答を選択するよう依頼した。
2000 年の調査では、1986 年より前、1986~1989 年、1990~1994 年、1995 年以降、過去 3 カ月の状態も回答してもらった。2004 年、2008 年、2012 年には、現状のみを質問した。
可能または大いに可能と回答していた人が、その後の調査で困難または大いに困難と回答した場合に、ED 発症と判定した。
主要評価項目は ED 発症とし、食生活の健康度との関係を検討した。食生活の健康度は、Mediterranean Diet スコア (MDS) と、Alternative Healthy Eating Index 2010 (AHEI-2010) スコアを用いて評価した。
2 通りの食生活スコアは、1998 年の食品摂取頻度調査の回答から算出を始め、その後の回答のスコアと累積平均点を計算した。追跡は ED 発症、心血管疾患発症、泌尿生殖器癌発症、死亡、連絡不能、最終予定日 (2014 年 1 月 1 日)のいずれかまで行った。
MDS スコアは、野菜、豆類、果物とナッツ、穀類、魚貝類、飽和脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の比が
集団の中央値より高ければ 1 点、赤身肉、加工肉の摂取量が中央値より低ければそれぞれ 1 点、
アルコール摂取量が 10g から 50g / 日なら 1 点とし、スコアを合計した。スコア幅は 0~9 点の範囲で、0~3 点なら地中海食順守度は低い、4~5 点 は中等度、6~9 点は高いとした。
AHEI-2010 は、11 アイテム、すなわち、果物、野菜、全粒穀物、ナッツと豆、多価不飽和脂肪酸、ω-3 脂肪酸の摂取が多いほど、また、アルコール摂取量は適度 (0.5-2 ドリンク/日) で、赤身肉と加工肉、加糖飲料、トランス脂肪酸、塩分の摂取は少ないほど、スコアが高くなる。
アイテムごとに摂取量に応じて順守度 0~10 の範囲でスコアを決定し、合計すると、総スコアは 0~110 の範囲になる。総スコアに基づいて、対象者を五分位群に層別化した。Health Professionals Follow-up Study に参加した 5 万 1529 人のうち、1998 年までに死亡した人、食品摂取頻度調査を完了していない人、泌尿生殖器癌 (前立腺癌、膀胱癌、精巣癌など) の診断を受けていた人、1998 年の段階でED だった人、1998 年以前から心筋梗塞・糖尿病・脳卒中の病歴がある人などを除外した。
ベースラインの年齢が 40~75 歳だった男性 2 万 1469 人を分析対象とした。平均年齢は 62 歳だった。
追跡期間は平均値で 10.8 年、延べ 23 万 2522 人・年の追跡で、60 歳未満の男性 968 人が ED を発症していた。
また、60~70 歳の男性では 3703 人、70 歳以上では 4793 人が、ED を発症していた。
男性を年齢で層別化し、多変量調整 Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて、2 通りの食生活スコアに基づく健康度とED の関係を推定した。補正する共変数は、年齢、民族、BMI、喫煙状態、身体活動度、併存疾患、使用薬、
カロリー摂取量、婚姻状態などとした。
60 歳未満の男性では、MDS スコアが高いグループは低いグループよりも ED 発症リスクは低かった。
多変量調整ハザード比は 0.78 (95 %信頼区間 0.66-0.92) だった。
60~70 歳未満の高齢者でも、ハザード比は 0.82 (0.76-0.89) となり、70 歳以上でも 0.93 (0.86-1.00) になった。
同様に、AHEI-2010 スコアが最高五分位群の ED リスクは低く、最低五分位群と比較した多変量調整ハザード比は60 歳未満の男性が 0.78 (0.63-0.97) で、60~70 歳未満の男性は 0.78 (0.69-0.87)、70 歳以上では 0.89 (0.81-0.99) になった。
これらの結果から著者らは、健康的な食生活を守っている男性は食生活が乱れている男性に比べ、ED を発症しにくいことが示唆されたと結論している。
また、健康的な食事と疾病への影響を調べる研究を行う際に、評価項目に ED を加えると、より確かなエビデンスが得られるだろうと期待している。
参考資料:日経メディカル、海外論文ピックアップ JAMA誌
いかがでしたか?
勃起障害には様々な要因がありますが、食生活で改善できる部分があるのはとても興味深かったです。
そんな ED の改善をサポートする「勃起不全治療薬」いわゆる「ED 薬」というものがあります。
「ED 薬」についてまとめた記事もありますので、併せてご覧ください。
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