ワキガ(腋臭症)の原因
汗を分泌する汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類に大別され、ほぼ全身に存在し体温調節のために発汗しする汗腺をエクリン汗腺、ワキや陰部など身体の限られた部位に存在しニオイの元となる物質を含む汗を分泌するものをアポクリン汗腺といいます。
ワキガ(腋臭症)は、ワキのアポクリン汗腺が分泌するタンパク質や脂質を含んだ汗を皮膚常在細菌が分解することで発生する低級脂肪酸、揮発性硫黄化合物、揮発性ステロイドなどがニオイの原因物質となっています。アポクリン汗腺は通常の人にも存在していますが、腋臭症ではニオイの原因物質を含む汗の量が増幅しているため一般的な人と比べて強いニオイを発すると考えられています。
一方、アポクリン汗腺の大部分はアドレナリンによって作動し、アセチルコリンで作動するアポクリン汗腺は少数とされています。
発汗は環境温度だけでなく、緊張など精神的な要因や辛い物を食べた場合などでも誘発されます。汗のかきやすさには個人差がありますが、手のひら・足の裏・脇は精神的な負荷で発汗が起こりやすい代表的な部位であり、特に脇の発汗は衣服の上から目立ちやすく日常生活・社会生活に精神的・心理的な苦痛を感じる方が多いとされています。
腋臭症と耳垢の関係
耳垢には2種類の型が存在しており、湿った耳垢を産生する人と乾燥した耳垢を産生する人に分けられます。日本人の約80%が乾性耳垢とされており、耳の穴に存在するアポクリン汗腺は湿性耳垢の人の方が発達していると報告されています。また、国内では腋臭症の人の97%が湿性耳垢であったとの報告があり、腋臭症と耳垢のタイプが関連していることが示唆されています。湿性耳垢の人すべてが腋臭症ということではありませんが、腋臭症は自覚出来ないこともあるため湿性耳垢の方は特に注意が必要です。
腋臭症と多汗症は合併しやすい
腋臭症の方には多汗症が併存している割合が高いとされており、発汗しないよう気配りをしていても抑制できない方やニオイが強くなってしまう一因となっています。多汗症単独では発汗量の増加によるワキ汗や衣類の汗ジミで悩まれることに対し、併発している方は強いニオイを伴うため、社会生活で強い苦痛を感じられる方が多くいらっしゃいます。
多汗症の原因と治療については下記ページにて解説しておりますので、ご確認ください。
腋臭症に対するボトックス®注射
ボトックス®注射は重症多汗症の治療薬として保険適用となっていますが、腋臭症に対する治療薬としては保険適用外となっています。この理由として、ボツリヌス毒素はアセチルコリンの分泌を抑制する作用があり、多汗症の原因となるエクリン汗腺の発汗には効果的とされていますが、アポクリン汗腺は主にアドレナリンの作用で発汗するためと考えられます。しかし、重症多汗症と腋臭症が併発している人に多汗症治療としてボトックス®注射を実施した場合に腋臭症のニオイが軽減したとの報告が多数あります。これはアポクリン汗腺の一部はアセチルコリンで作動することが判明しているため、それらの発汗が抑制させることで症状改善に役立っていると考えられています。
まとめ
ボツリヌス毒素は多汗症に対して特に有効な治療薬ですが、ワキガのニオイ改善にも一定の効果が期待できます。軽症例では気にならないレベルにまでニオイを抑えることが出来る場合もあります。PRO CLINICのカウンセリング・診察は無料となっておりますので、脇のニオイが気になる方は是非一度ご相談ください。