ED と ED 治療薬 (PDE5 阻害薬)
Erectile Dysfunction (ED:勃起障害/勃起不全)とは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」とされています。日本の ED 有病者数は約 1130 万人と推定されており、人口の高齢化に伴って増加傾向にあるとされています。ED 治療の第一選択は PDE5 阻害薬とされており、日本で認可されている PDE5 阻害薬は 3 種類あります。
このページでは勃起のメカニズムと共に、3 種類の ED 治療薬の特徴について解説します。
勃起のメカニズム
陰茎の大部分は海綿体と呼ばれるスポンジ状の構造をしており、性的刺激などによって海綿体内が血液で満たされ、水を含んで膨らんだスポンジの様に膨らむ事で勃起します。海綿体は平滑筋と呼ばれる繊維で構成されており、性的刺激で平滑筋が弛緩することで平常時より多くの血液を受け入れられる状態になります。海綿体が血液で膨らみ硬くなることで、身体へ血液が戻るための通り道である静脈が圧迫されるため、血液が戻りにくくなり勃起状態が維持されるようになります。
勃起時には、性的興奮によって海綿体細胞内に c-GMP と呼ばれる物質が産生され、c-GMP の作用によって海綿体の平滑筋が弛緩し陰茎の勃起が起こります。勃起の消退は c-GMP を分解する作用のある PDE5 と呼ばれる物質が働くことで起こります。
ED 薬は勃起を消退させる PDE5 の作用を抑えることで勃起を起こしやすく、維持させる作用があります。
ED 薬の種類
シルデナフィル (バイアグラ) | バルデナフィル (レビトラ) | タダラフィル (シアリス) | |
---|---|---|---|
容量 | 25, 50 mg | 5, 10, 20 mg | 5, 10, 20 mg |
効果持続時間 | 約 4 時間 | 約 4 時間 | 約 36 時間 |
効果発現までの時間 | 30 ~ 60 分 | 約 30 分 | 約 60 分 |
食事の影響 | あり 高脂肪食で血中濃度低下 | あり 高脂肪食で血中濃度低下 | なし |
服用タイミング | 食前 30 分以上前 食後 2 時間以上後 | 脂質が摂取カロリーの 30 %以内なら問題なし | 食事等の影響をほぼ受けない |
副作用 | 顔のほてり、目の充血 動悸、頭痛、鼻詰まり 胃の違和感 | 顔のほてり、目の充血 動悸、頭痛、鼻詰まり 胃の違和感 | 顔のほてり、目の充血 動悸、頭痛、背部痛 消化不良 |
日本で認可されている上記 3 種類の PDE 阻害薬は、いずれも国内外で十分な有効性・安全性のデータが報告されている薬剤です。ED 治療として使用する際の有効性は、いずれも同等と考えられており、それぞれの特徴に合わせて自由に選択することが出来ます。
シルデナフィルは食事の影響を受けやすく、効果発現までには早くても 30 分程度を要します。勃起への影響は強いとされており、十分な効果が期待出来ます。また、古くから使用されている薬であるため他のED薬と比べて安価であることが多いのも特徴です。
バルデナフィルは効果発現までの時間が早く、脂質を多く含む食事でなければ食事の影響を受けにくい ED 薬です。勃起への影響は最も強いとされており、勃起力を大きく改善したい方に推奨されます。
タダラフィルは効果持続時間が約 36 時間と長時間作用することが特徴です。食事の影響も受けにくく、性交渉の可能性がある日などは午前中から内服できるなど、タイミングを選ばずに使用できる使いやすい ED 薬です。勃起への影響は他の ED 薬と比べるとマイルドとされていますが、副作用も出づらいため、使いやすさで選択されることの多い薬です。
健康な人が ED 薬を使うとどうなる?
ED 薬はもともと勃起機能障害の改善に使用されている薬剤ですが、勃起機能障害と診断される状態でなくても、年齢と共に勃起時の硬さや持続力の低下を感じられる方やお酒を摂取した後では勃起が難しいなど、様々な状況で勃起のサポートを行いたいと考える方が多く、健康な人であっても処方を希望される方が多くいらっしゃいます。
健康な人が ED 薬を使用すると勝手に勃起してしまうのではと不安に思われる方も居られますが、ED 薬は視聴覚性的刺激や陰部への刺激で勃起が起こり、勃起力の増強や勃起状態の維持がしやすくなる作用のため、刺激なく勃起してしまうことはありません。
過去に ED 薬を使用していない場合は、使用開始後数回の内服で十分な効果が得られないことや不意の勃起などが生じることがありますが、何度か使用すると安定した効果を実感出来るようになります。
20 ~ 30 代の方であってもシチュエーションに応じて使用している方も多く、高い満足度を得られることが多い薬となっています。
ED 薬が使用注意・使用出来ない方
ED 薬は体内の肝臓・腎臓で代謝される薬剤のため、肝機能・腎機能障害を指摘されている場合に使用量の制限などを必要とする場合があります。腎機能障害の方は血液透析の有無などによっても使用可能な ED 薬に制限があります。
また、狭心症などの心疾患を持病としてお持ちの場合は、硝酸薬との併用で危険なレベルの血圧低下が発生する可能性がありご使用頂けません。
ED 薬使用をご希望の方で持病をお持ちの場合は、必ず申告して頂きますようお願い申し上げます。
今回は勃起のメカニズムと ED 薬について解説いたしました。
ED 薬は作用の強さや持続時間、内服のタイミングなどが異なるため、実際に使用してご自身に合った物を使用して頂くことが良いとされています。
プロクリニックでは各種薬剤のお試しセットも販売しておりますので、ED 薬の使用を検討されている方は是非お試しセットからご自身に合ったものを探して頂ければと思います。