日本は陰茎癌の発生頻度が高い?
割礼の行われないアジア、日本では陰茎癌の発生頻度が高いとの指摘がありますが、陰茎癌の日本での発生頻度は、だいたい10万人当たり0.4人とされており、それほど高くはありません。
一方で環状切開や割礼を受けた幼少時の個人は、陰茎癌の発生リスクが低いと言われています。特に、割礼の習慣があるイスラエルなどでは、10万人当たり0.1人と非常に低い発生率です。
割礼が関連するということもありますが、日本もそれほど高くない。日本は衛生状態が良いため、発生頻度が低いのではないかと考えられます。
日本の場合はほとんどの人がお風呂に入り、きちんと洗っている方が多いため、そういった意味でも発生頻度が低いと考えられます。
包茎は陰茎癌になりやすい?
包茎の場合、恥垢がたまりやすく、これが発癌性の一因になります。長期間にわたる炎症や機械的な刺激も発癌に関係する可能性があります。 仮性包茎の方が多い日本では、清潔を保つことがより重要です。
真性包茎の場合、環状切開を行うことが望ましいですが、年齢が上がるにつれて難しくなります。
幼少期は多くの子供が包皮を持っているので、早いうちから包皮をむいてあげることが重要です。海外では環状切開や割礼が一般的ですが、そういった処置を受けた人々と受けていない人々では、発癌のリスクにかなりの違いがあるというデータもありますので、包皮を早めにむいてあげることが良いでしょう。
HPV感染による陰茎癌のリスク
HPVは良性のものも悪性のものもあります。 一般的に、小さなコンジロームの場合はほとんどが良性ですが、大きなコンジロームの場合には、その中に悪性のHPVが含まれることもありますので、その場合は癌化のリスクを考慮した方がいいでしょう。
HPVには何十種類ものタイプがありますが、その中でも最も一般的なのは、コンジロームに見られる良性の6型と11型です。一方、陰茎癌で検出されるウイルスは、子宮頸癌と同じく16型と18型が最も多く見られます。
したがって、これらのタイプのHPVが検出された場合は、病変の悪性化を注意深く観察し、必要に応じて追加切除を検討します。 もし16型や18型が検出された場合はパートナーにも通知してフォローアップすることをお勧めします。ただし、現時点では陰茎癌と子宮頸癌の関連性については明確なデータはまだ出ていません。
陰茎癌の治療について
日本では、陰茎癌の治療としては、一般的に陰茎の切断や全摘手術が行われることが多いです。しかし、海外の文献を見ると、陰茎をできるだけ温存する方針が取られることがあります。陰茎は男性の象徴でもありますので、機能をできるだけ保持することが重視されます。
日本では、放射線療法単独での治療はあまり一般的ではありませんが、海外では小線源療法や外部照射などが行われることがあります。陰茎を温存するために、放射線療法が選択されることもあります。
また、進行癌の場合には化学療法が行われることもあり、特に、鼠径部や骨盤内のリンパ節転移がある場合には、化学療法が検討されます。
また、前立腺癌の治療で使用される放射線シードのような治療法は陰茎癌には用いられません。陰茎には、数本の放射線シードを挿入し、数日間そのまま留置する治療法が行われることがあります。これによって、放射線が病変に集中して治療が行われます。しかし、この治療法は放射線漏れのリスクがあるため、日本ではあまり行われていません。
包茎治療をして陰茎癌を予防しましょう
包皮を取り除くことで、亀頭部の清潔が容易になり、慢性的な炎症や感染のリスクが軽減されます。また、包皮のない状態では、恥垢の蓄積が防がれ、亀頭部の衛生的な環境が維持されます。これにより、陰茎癌の発症リスクが低減される可能性があります。
包茎手術は一般的に安全であり、合併症のリスクは低いです。手術後は早い段階から日常生活に復帰でき、包皮除去によるメリットは一生涯続きます。包茎でお悩みの方は、健康的な人生を歩むために、包茎手術を検討することをお勧めします。
プロクリニック 医師 松澤 宗範
コメント