光老化について
加齢は時間の経過と共に生じる現象であり、良し悪しは関係ありません。対照的に、老化は加齢による生体機能の低下を指します。露光部に見られる老化は「光老化」と呼ばれ、遺伝的要因の「自然老化」とは異なります。
光老化はUVの影響を受ける皮膚部位で見られ、特定の皮膚変化を引き起こします。特に表皮層は、UVB(290~320nm)とUVA(320~400nm)の影響を受け、光老化の症状を示します。
光老化の主な症状について
1、老人性角化症:
長期の日光露出により発疹が生じ、悪性化のリスクがあります。不全角化と有棘細胞の異形性や表皮内が認められ、真皮上層の好塩基性変性と炎症細胞浸潤を伴います。
2、老人性色素斑
高齢者に見られる色素沈着。境界が明瞭な茶色あるいは黒色の色素斑を形成する加齢と共に増加します。メラノサイト(MC Melanocyte)およびメラノソームの数とサイズが増加しています。
3、脂漏性角化症
老人性疣贅ともいわれ日光露出部にみられる小型の角化性紅斑を伴う茶色~黒色調の病変です。UVによる表皮細胞(KC Keratinocyte)の増殖・分化の異常とMCの活性化によるメラニン産生亢進が主体と考えられます。
4、皮膚癌
老人性角化症などの光老化症状は非メラノーマ(基底細胞癌や扁平上皮癌など)に移行するリスクが高いです。白人や白皮症患者では頻度が高く、UV被曝量との関連が指摘されています。
これらの光老化には、細胞の異常な増殖や分化、メラニンの合成や蓄積が共通して見られます。しかし、表皮の細胞は周期的に更新されるため、単純なUV障害が蓄積するだけでこれらの症状が生じるとは考えにくいです。
プロクリニック 医師 松澤 宗範
【参考文献】
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