アンチエイジング医療において禁煙は重要
研究によると60歳以降に喫煙を続ける人は、非喫煙者に比べて健康で活動的な生活ができる期間が平均4年短いとされています。喫煙は、寝たきりを含む老後のさまざまな健康問題を引き起こす主な原因であり、その影響はより広く知られるべきです。喫煙は世界中でがんの最大の単一リスク因子と見なされており、WHOの国際がん研究機関では、肺がんだけでなく他の19種類のがんとも関連があることが確認されています。
喫煙は心臓病、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患などのリスクを高める
喫煙の健康への影響についての認識はまだ不十分で、病気や死亡を減らすためにはさらに多くの取り組みが必要です。喫煙と肺がんの関係は比較的知られていますが、他の疾患への影響についての認識はまだ高くありません。たばこには70種類以上の発がん物質と200種類を超える有害物質が含まれているとされ、たばこに含まれる添加物の多くはニコチンの依存性を高めています。
喫煙によって寿命が短くなり健康寿命も短くなる
「低ニコチン」「低タール」たばこが健康に良いとの誤解がありますが、これらも健康への害は変わりません。喫煙者の死亡率は非喫煙者よりも高く、たばこによる病気や死亡は大きな社会的コストを生み出しています。若い年齢で喫煙を始めた人は、男女ともに寿命が短くなることが報告されており、35〜40歳で禁煙すれば、禁煙前の寿命を取り戻すことができます。低ニコチン・低タールたばこでも、喫煙者は深く吸ったり、たばこの根元まで吸ったりするため、健康リスクは減りません。このように、禁煙はアンチエイジング診療において重要であり、喫煙の弊害を正しく伝えることが重要です。
いくつかの研究によると、アルコールや覚せい剤、大麻、コカインといった他の薬物に比べて、たばこやニコチンの使用者がはるかに多いことがわかっています。たばこの銘柄によっても、肺がんで亡くなるリスクが異なることが明らかにされています。特に、高タールのたばこを吸う人はリスクが高く、低タールのたばこを吸う人でもリスクが少し高い傾向があることが分かっています。
禁煙することのメリット
- 自分自身の病気になるリスクを減らせます。
- 同居する家族が受動喫煙によるリスクを減らせます。
- ニコチン依存から解放され、ストレスが減ります。
- 咳や痰などの呼吸器の不快な症状がなくなります。
- 味覚や嗅覚が改善し、自然の香りを楽しめるようになります。
- 口臭や体臭が改善
- 経済的にも節約
包茎治療後も禁煙すると治りが良くなる
禁煙を促す際には、患者が自ら禁煙に向けた行動を取るよう促すことが重要です。禁煙外来では、離脱症状を管理し、カウンセリングと併せて治煙補助薬を用いることが一般的です。
たばこを吸うことは、身体だけでなく精神的にも依存していることを意味します。禁煙することで、「喫煙による一時的なストレス解消」の認識を改め、正しい理解に導くことが大切です。
また、喫煙者特有の心理、例えば「喫煙の害よりストレスの害の方が大きい」といった合理化を理解し、正しい方向へ誘導する必要があります。
包茎治療などの外科手術の際も喫煙していると血管収縮も起こり傷の治りも悪くなり最悪壊死する原因となります。禁煙すると傷の治りも良くなります。傷を綺麗にするためにも禁煙することをお勧めします。
プロクリニック 医師 松澤 宗範
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